Crosstalk クロストーク

クロストーク

Introduction

「日本初」を市場へ送り出したプロジェクトチームの挑戦のストーリー

日常にある不便さや不満が長年解消されずにいると当たり前になってしまう。実は満たされていなかった隠れたニーズを引き出し、解消することはメーカーの役割の一つである。今回開発したスプレータイプの乳液「ミルティー」もそんな商品だ。
しかし、世の中にない製品の開発は、既存製品のブラッシュアップより遥かに難しい。研究開発では参考とする事例や実績がなく、マーケティングやプロモーションにおいても、これまでにない魅力をどう表現すればお客様の心に響くのか、確証が持てない。ミルティーの開発プロジェクトでも、クリアすべき難題が山のようにあった。

プロジェクトの道のり

Journey of the project 「ミルティー」 プロジェクトの
道のり

2020 4

プロジェクト発足

エアゾールタイプの乳液という、
市場にない商品開発の実現に向けて
研究開発部が事前検討に着手。

2021 7

コンセプトメイクがスタート

これまでにない新しい乳液が完成し、
商品化に向けてマーケティング部では
コンセプトをつくるためのアイディア出しが始まる。

2022 7

発売日が決定

商品名「ミルティー」のコンセプトが決定するも、
一度は振り出しに戻り、マーケティング部の試行錯誤が続く。研究開発部ではスケールアップの
ための検討を開始。

2023 2

量産開始

数々の問題を乗り越えて研究開発部による
ラボ検討が完了し、量産化がスタート。
コンセプト案も固まり始める。

3〜6

プロモーション

マーケティング部とプロモーション課で
意見が割れていた商品のキャッチコピーがついに完成。プロモーション課による販売促進のための取り組みが本格化する。

8

完成・販売開始

日本初のエアゾールタイプの乳液
「ミルティー」が全国で販売開始!

スクロール/ドラッグできます

Project member プロジェクトメンバー

  • 2002年入社 研究開発部

    Aさん

    入社後から研究開発部に所属し、2013年にはナリス化粧品の独自技術「IPFテクノロジー」を開発。2015年からは関西学院大学と共同で、製品への活用を目指してふきとり化粧水の感性研究に取り組んでいる。

  • 2013年入社 研究開発部

    Fさん

    入社後から2016年まで新技術創出グループに所属し、「真珠肌プロジェクト」などに参画。その後、各種サンスクリーン製剤の開発やマジェスタシリーズのリニューアルなどに携わっている。現在は1児の母となり、育休取得後も活躍している。

  • 2008年入社 マーケティング部

    Hさん

    キャリア採用で入社し、1年間営業を経験した後、2009年から製品企画を担当。UVカットスプレー「パラソーラ」のリニューアルや新ライン追加などに携わる。2020年から1年間の育休を取得し、現在は2児の母として仕事と育児の両方を楽しんでいる。

  • 2019年入社 リテール事業部

    Kさん

    入社後は製造課に所属し兵庫工場で新規撹拌羽根導入のプロジェクトに携わった。
    2022年10月からリテール事業部プロモーション課に所属。2023年9月からはコープ事業に所属し営業を担当している。

クロストーク Chapter 01
Chapter

世の中にないテクスチャーを独自技術と アイデアで実現

  • Hさん

    スプレータイプの化粧水は市場に数多くあるのに、なぜ乳液は見かけないんだろう。これがあればもっと手軽に、しっかりと保湿ができるのに。という疑問がそもそものスタートです。ニーズはきっと高いはず。そう考えたマーケティング部が、研究開発部に「製品開発を実現したい」と難題を持ち込みました。

  • Aさん

    海外製品にはスプレータイプの乳液もありましたが、水鉄砲のように一直線で出たり噴出口が詰まってしまったりと、私たちが目指す商品ではありませんでした。スプレーで噴霧した時にふわっと広がる乳液を作るには、保湿力のあるトロッとした乳液の粘性を下げ、水のようなサラサラの液体にする必要があります。「サラサラ」のテクスチャーと「保湿力」の両立は非常に難しい。製品化の実現可能性を探って検討を重ねましたが、参考になる商品もなく、処方化の目途がまったく立たない状況が数か月続いて、一時は白旗をあげようとさえ思いました。

  • Hさん

    一年くらいAさん一人で模索していましたね。同時進行していた他の開発案件から解決の糸口を得たと聞きました。

  • Aさん

    そうなんです。化粧水に油分を大量に溶かし込むための「IPFテクノロジー」という独自技術が鍵でした。別の開発案件で、本来は化粧水に溶かし込む油分だけに施していたIPFテクノロジーを乳液全体に施したところ、思いがけずサラサラとした乳液ができ上がったんです。その時、この製法が今回の案件に活かせるのではないかとひらめきました。実際にスプレー缶に充填したサンプルを使ってみると期待通りにふわっと噴霧でき、しかもサラサラなのに肌感触はしっとりとした乳液の保湿力を実現していて驚きました。

  • Hさん

    マーケティング部にもサンプルを持ってきてくれたそうですね。当時私は育休中でいなかったのですが、メンバーが試して「これはすごい」と場が沸いたと聞いています。処方化の目処が立ったことから、この商品「ミルティー」の開発が本格的にスタートしました。

  • Aさん

    ここまでくれば、あとは量産化に向けた製法の検討と安全性・安定性の確認だけだと安堵しました。別件の業務が立て込んでいたこともあって、このタイミングでFさんに開発業務を託すことに。「9割方は終わってるから」と、軽いノリでFさんに仕事を引き継ぎました。

クロストーク Chapter 02
Chapter

完璧を目指して最後まで検討を重ね 「史上初」の壁を突破

  • Fさん

    今までにない新しいものと聞いていたので、本当に問題なく進むの?という不安とワクワクがありました。そしたら不安的中で(笑)。解決しないといけない問題が多すぎて、発売延期をお願いしようと思ったくらいです。

  • Aさん

    IPFテクノロジーは本来、保湿力を高めるために化粧水に大量の油分を溶かし込む技術ですが、今回は使い方が従来とは異なります。水のような乳液を作るために今までやったことのない使い方をしたことで、想定外の壁にぶつかりましたね。

  • Fさん

    IPFテクノロジーを使うには、あらかじめ高温にした乳液を機械に通して処理します。機械の処理能力が大きくないので、大量の乳液を長時間高温状態でキープしなくてはならなくて。すると高温状態が続いた乳液が変質して、においが出てしまったんです。高温が原因とわかっているのですが、乳液を冷ました状態で処理すると時間の経過とともに水分と油分が分離して安定性が保てない。初めての製法で思わぬ問題が出てしまい、2ヵ月悩み続けました。

  • Hさん

    どうやって解決を?

  • Fさん

    量産化のプロセスと同時進行で、ふわっと噴霧できる限界の粘度を把握するために行った実験にヒントがありました。この時はサンプルの粘度を上げることだけが目的だったので、実験の効率化のために室温で従来と異なる条件で処理をしたんです。高温状態にしていないのでにおいが発生しないのは予想できましたが、安定性は全く期待していませんでした。でも、時間が経過してもなぜか安定性が保てていることに気づいて。この従来と異なる条件が鍵だったんだ!とひらめきました。

  • Aさん

    Fさんが乳液を温めない製法で実験を行ったこと、さらに万全を期して目的が異なる実験サンプルでも安定性をチェックしていたことがファインプレーにつながりました。その後も数々の問題が出てきたけれど、「100点を目指したい!」と最後の最後まで検討してくれたね。その姿が印象的で、Fさんのものづくりにかける想いに心打たれました。

  • Fさん

    生産日が直前に迫ったギリギリのタイミングでしたが、Aさんも手伝ってくれて「Fさんがペアで良かった」と言ってくれたし、最後まで製品品質に責任を持ちたいと思ったんです。おかげで、検討をやり尽くして期日通りに安全性の高い製品ができました。私一人の力では無理だったと思います。チームの力を感じると同時に、問題の対処を考えてすぐ実行に移す、そして常にベストを尽くす、という意識の大切さを実感しました。

クロストーク Chapter 03
Chapter

魅力をダイレクトに伝える言葉とは? 日々、重ねた探求

  • Hさん

    Aさんが製品化の道を拓いてくれたことで、マーケティング部でもプロジェクトがスタートしました。スプレーでふわっと広がる乳液という、世の中にない商品の特徴を分かりやすく伝えるためのコンセプトがまずは必要でしたね。

  • Kさん

    Hさんがプロジェクトに加わったのは育休明け。その頃にはすでに出尽くしているほどの多くの案が出ていたけど、それでもミルティーの魅力を言い得ているものはなかったんですよね。

  • Hさん

    前例のない商品だから、ミルティーのどの特徴をどんな言葉で表せばこの魅力をお客様にダイレクトに伝えられるか、悩んでいたんです。伝えた瞬間にお客様が「それ欲しい!」と思えるような言葉を見つけるために、2ヶ月ほど、顔に、ボディに、お風呂上がりにと日常のさまざまなシーンで試してみました。そこで気づいたのが、なじませなくても発揮されるミルティーならではの抜群の保湿力です。

  • Kさん

    どうやって気づいたんですか?

  • Hさん

    お風呂上がり、子どもの世話に追われてミルティーを顔にスプレーしたまま放っていたんです。しばらくしてから肌を触ると、シートマスクをした後みたいにしっかり保湿されていて、これだ!と思いました。子育て中はお肌のお手入れを満足にできないのが当たり前、と思っている人は多いし、私自身もそうだったけど、ミルティーなら子育て中でも手軽にしっかりケアができると気づきました。

  • Kさん

    そこで生まれたのが「シートマスクをした後のような肌になれるスプレー」というコンセプト。

  • Hさん

    でも、モニターにアンケート調査をすると、この表現だと「スプレーするとマスク状に固まるの?」という誤認を多くの人に与える結果になり、「マスク」という言葉を使うのをやめることに。プロジェクトのスタートから1年かけて決めたコンセプトが根底から揺らいでしまいました。
    ただ、シートマスクとは言えなくても、ミルティーは本当にしっかり潤うんです。例えるなら「化粧水や美容液、乳液全て使ったくらいの満足感」。丁寧にお手入れした時のような肌になれることをどう伝えたらいいのか、悩みました。「オールインワン」も検討したけど、それだと手軽さばかりが先行して「70点の保湿」というイメージがある。そこで出てきたのが「3秒で満たされる 高保湿ミルクスプレー 夜のもちもち肌ずっと続く」というコンセプトです。

クロストーク Chapter 04
Chapter

企画と販促が、 目線を揃え商品への想いを一つのコピーに

  • Kさん

    私たちプロモーション課も発売時のプロモーション検討のため、この頃からプロジェクトに参加しましたが、コンセプトを最初に聞いた時、どの部分を打ち出せばいいの?と思いました。手軽にしっかりお手入れができることを伝えたいなら「オールインワン」でしょ?と。

  • Hさん

    でも、オールインワンでは満足感を伝えきれない。

  • Kさん

    それは私も思いました。もっと丁寧にスキンケアした効果があることを伝えたくて、「フルコースのスキンケア」という案を提案しましたが、そこで意見の相違が生まれましたね。Hさんは「”フルコース”ではイメージがしづらいし、手軽さと満足感の両方を訴求できないと魅力を伝えきれない」と。

  • Hさん

    ものづくりをする上で、企画も販促も常に同じ方向を見ようと意識はしているし、途中からプロジェクトに加わる販促チームに企画立案時からの経緯や私たちの想いを共有することも心がけているけれど、それでも少しのずれが生じてしまうことはあります。今回も、まだしっかりと目線を揃えられていないと気づき、これまでの経緯や想いをもう一度丁寧にKさんに話しました。

  • Kさん

    Hさんの商品に対する愛は当初からひしひしと感じていたけれど、話を聞いて、想いをより深く理解できました。画期的な商品だからこそ、魅力をまっすぐに伝えたいという思いは私も同じ。そこからお互いにアイデアを出し合って、キャッチコピーを作り、アンケート調査を何度も繰り返しましたね。

  • Hさん

    考え抜いて、ようやく辿り着いたのが「裏切らない 濃密オールインワンスプレー」。

  • Fさん

    「裏切らない」と「濃密」という言葉で、オールインワンの持つ「70点の保湿」というイメージを打ち消したんですね!

  • Hさん

    そうです。Kさんたちプロモーション課と一つになって、伝わるコピーを生み出せたと感じたときは、何とも言えない達成感がありました。

  • Kさん

    私もマーケティング部と一緒に新しいものを作る喜びを感じました。さらにプロモーション課では、新しい施策として動画制作も行いました。手軽なのに水分と油分のどちらもしっかり浸透するというミルティーならではのメリットを、根拠を持って伝えたくて、Fさんたちにも協力を仰ぎながらその仕組みを図解して、丁寧に伝える努力をしました。

  • Hさん

    いくつもの難題を乗り越えて開発を終え、今は多くの店舗にミルティーが並んでいます。世の中にない商品だったので、お客様を惹きつけるポイントはどこなのか、手探りでしたが、販売後の口コミを見ると「スプレーでミルクが出てくるところが斬新」という声が多くて、やっぱりそこが魅力だったんだ、と再認識できました。当たり前になっていた不便、不満を突破する商品になったと思います。

  • Aさん

    それぞれの部署の役割は違いますが、お客様に新しい価値を届けたい、という想いは一つでしたね。みんながプロ意識を持ってこのプロジェクトに挑んだからこそ、そして、思いきり挑戦できるナリスだからこそ、難題にぶつかり紆余曲折を経ながらも商品を世に送り出すことができたのだと思います。この達成感はこれまでの開発の中でも格別に大きいものでした。

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